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生き物とはなんだろう?

今日は、生き物ってなにかなーというテーマについて。
生き物は、いつかは死んでしまう。

健康というテーマについて話している時に、
死の問題はなかなか出てこない。

死を半ば覚悟した年配の方が、
「私もそろそろ…」

と言った時に、
「そんなこと言わずにいつまでも元気で」
反射的に答えてしまう。

しかし、いつまでも、いつまでも、
いつまでも元気で、いつまでも元気で、
いつまでも…

なんて幻想。

必ず、死を向かえるのが生き物だから、
健康を死の対極に置くのではなく、
死を含んだ健康のモデルを考える方が実態にあってると思う。
PPK(ピンピンコロリ)というのはよく言ったもので。

健康に死んでいく、ということがあるのか、ないのか、
あるとすれば、どうすれば可能なのか?

—-

クマムシという生物がいる。肉眼でもやっと見えるかどうかという大きさで、
土の中や屋根の雨樋の落ち葉溜まりに棲んでいるそうだ。

休眠状態になったクマムシは最強で、生物の基本原則を無視する。代謝や循
環をしないでいられるのだ。通常、生物が生存状態を保つためには最低60~
70%の水分含有量が必要だが(人間は70%)が、乾燥して休眠状態のクマムシ
は5%くらい、さらに乾燥させると0.05%くらいにまでなってしまう。

また、真空状態におかれて酸素を遮断されたり、120度位の温度の場所に放
置したり、マイナス100度以上の液体窒素の中に入れたりしても、蘇生する
のだという。さらに休眠状態になって120年は生き続けられるという記録も
あるという。(もちろん休眠状態でなければ死んでしまう)

さて、休眠状態のクマムシはどのようになっているのか。

クマムシの体は立体だが、水分が抜けていくと体が縮んでいき、トレハロー
スという糖を作り、それに高分子が通常の状態と同じ位置関係で張り付く。
大切なのは、物質の位置関係は同じまま保たれるということ。

そして、水を垂らしてやると、糖であるトレハロースが溶けてエネルギー源
となり、再び代謝が始まるのだ。トレハロースに張り付いていた物質が、(休
眠状態では”ない”時には)水という流動的な状態の中で、お互いにコミュニケー
ションをしながら代謝や循環を行っているのだ。

地球上の様々な高分子がランダムに動いている状態の時、これらはただの物
質に過ぎない。でもある時、何かのタイミングで、これらがある配置になっ
たとする。するとそれらは自動的にコミュニケーションをとり始める。そし
て自分たちだけで周りから必要なものを取り入れ、不要なものを排出し循環
し始める。これが生物だ。

ビリヤードの玉が次々と当たっていって、A->B->C->Dと当たった後、どう
いうわけか、いつまでも止まらずに、A->B->C->D->A->Bというように、最
初の玉をついて永久的にまわり続けている。これが生命なのだ。

生物とは突き詰めれば、物質と物質の特殊な配置であり、なぜ特殊かと言え
ば、外部から軌道修正しなくても勝手に循環していくからだ。ひと度、この
特殊さがなくなると、バラバラになり、ただの物質に戻ってしまうのである。

命は、物質が特殊な配置になった、その一瞬だけ発生し、また何事もなかっ
たように物質へと戻り、消えてしまう、奇跡なのだ。

PS 上記は『初歩から学ぶ生物学』(池田清彦・角川選書・2003)
を自分なりに理解したものを書きましたが、間違いは僕のせいです。

以前別のメルマガに書いたものを再掲。

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